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なめし(鞣し)前編

執筆者の写真: OL工場長OL工場長

こんにちは。工場長(自称)坂本です。


新年も早くも1ヶ月が経とうとしてますね。

本当に仕事をしていると、1ヶ月・1年があっという間に感じております。

今月も有り難い事に注文が多く忙しく、明日からは展示会で大阪に5日程、出張です。

体調を崩さないか心配しているところです・・・


鞣しはかなり奥が深くて説明するにも長くなるので、2部構成でお送りいたします。

今回は、一般的な鞣しについてのお話しをして、次回でフィッシュレザーの鞣しについてお話しさせていただこうかと思っております。


さて前回の「中和(脱灰)編」に引き続き、今回は、「なめし(鞣し)前編」について深掘りしたお話しをさせていただこうかと思ってます。


なめし(鞣し)とは


まず、なめし(鞣し)の定義は、「①耐熱性の付与②耐酵素性、耐薬品性付与③革らしさの付与」と定められているんです。

まあ、難しい言葉並べられてもって思いますよね・・・

簡単に説明すると、なめしを行うことによって「皮から革へ変化する」作業ですね。

皮から革へ変化する過程で、「①熱に強くなる②防腐処理③柔軟性」「皮」に付与されることによって「革」になるですかね。


なめしの種類


鞣しの種類は何種類かあって、①クロム鞣し(鉱物鞣剤)②植物タンニン鞣し(植物タンニン剤)③合成タンニン鞣し(合成鞣剤)が主流ですかね。

その他にアルミニウム鞣し、ジルコニウム鞣し、アルデヒド鞣し、樹脂鞣し、油鞣し、etc.

いっぱいありますよね。

鞣し1種類で鞣すこともありますが、だいたい複数の鞣しを掛け合わせて行うことが多いです。


コンビネーション鞣し(コンビ鞣し)と言われるんですが、例えばクロム鞣しの後に植物タンニン鞣しをしたり複数の鞣しを掛け合わせるので、コンビネーション鞣しと言われます。

Ocean Leatherでは、「植物タンニン鞣し」「合成タンニン鞣し」の2種類の鞣しをしています。

そしてよく言われるのが、現在流通している革の「約80%」はクロム鞣し革だと。

なぜ、そんなにクロム鞣し革が流通しているのか、後でお話しますね。


クロム鞣しとは

クロム鞣剤


塩基性硫酸クロムという薬品を使用して鞣しを行ないます。

クロムで鞣された革を「ウエットブルー」と呼びます。

名前の通りクロム鞣し後の革の色が水色っぽくなるからですね。

メリットとしては、タンニン鞣しより短期間で量産でき、低コストで製造できます。

デメリットとしては、鉱物から精製された重金属系の鞣し剤なので、そのまま下水道に流すと環境問題が起こります。なので、排水処理を適切に行う事が大事ですね。


まあ、クロムと言っても危険なイメージがあると思いますが、人体などに影響のある「6価クロム」では無く、「3価クロム」と言われる安定した物質をクロム鞣剤として使用しています。排水処理さえしっかりとすると環境問題にはなりませんのでご安心ください。

※クロム鞣しで製造するタンナーさんは、排水処理設備を完備して製造しています。

このことから、短期間で大量かつ低コストで製造できる為、現在流通している革の80%がクロム鞣しで製造しているってことです。

 

クロム鞣しの特徴

・耐久性が高い。

・耐熱性に優れている。

・染色性に優れていて発色が良い。

・柔軟性・弾力がある。・経年変化(エイジング)がほぼしない。

 


植物タンニン鞣しとは

植物タンニン


植物タンニン鞣しとは植物の樹皮などから抽出された「タンニン(渋)」を鞣し剤として使用して皮を鞣す製造方法でクロム鞣しに次いで主流な鞣しですね。

タンニンって結構自分達と身近な存在で、柿やお茶に含まれるポリフェノールの一種で色んな食品に含まれているんです。


植物タンニン剤は、「ミモザ」・「ケブラチョ」・「チェスナット」の3種が主流ですね。

なんで複数、種類があるかというとタンニン剤によって鞣し具合や質感が少し変わるので、どんな革を求めているかによって使い分けをします。


製造方法は、「ピット槽鞣し」「ドラム鞣し」の2種類があります。

「ドラム鞣し」とは、ドラムと言われる機械に原皮とタンニン剤を入れて回転させてタンニン剤の浸透を促します。まあ、ドラム式洗濯機と一緒ですね。

回転することによって、物理的な衝撃を与えれるのでタンニン剤の浸透が早く比較的短期間で製造することができます。※もちろんクロム鞣しよりは時間が掛かります。

「ピット槽鞣し」とはプールの様な桶にタンニン剤を入れて濃度を調整しながら、原皮を漬けて鞣す方法です。

ドラム鞣しと違う所は、衝撃を与えず適度に動かして自然に浸透するのを待つので時間が掛かります。


植物タンニン鞣しの特徴

・経年変化(エイジング)を楽しめる。

・耐久性が高い。

・堅牢度が高い。

・摩擦に強い。

・やや伸びにくい。


合成タンニン鞣しとは

合成タンニン


合成タンニン鞣しとは、化学的に合成されたタンニン(合成鞣剤)を使用して皮を鞣す製造方法ですね。

植物タンニンや鉱物由来のクロムと違って人工的に作られたタンニン剤です。

特徴は、合成タンニンは白い粉末状なので白い革を製造でき、植物タンニン鞣し革と比べると耐光性に優れ、経年変化も遅いです。


しかし、合成タンニンは植物タンニンやクロムと比べると鞣し力が弱いので、合成タンニン単体で鞣すと扁平な硬い仕上がりになりやすいです。

なので、クロム鞣し後の再鞣しで合成タンニンで鞣すなど、コンビネーション鞣しとして使用されることが多いですね。

合成タンニン鞣しの特徴

経年変化(エイジング)が遅い。

・耐光性に優れている。

・品質が安定している。

・白革を製造できる。


以上が、なめし(鞣し)前編になります。

次回は、フィッシュレザーの鞣しについて後編でお話しさせていただきます。

コメントもお待ちしております~。

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