こんにちは。工場長(自称)の坂本です。
今年も、後10日程になりました。
ブログは今回が年内最後になりますが、来年も引き続き更新していきますので、お楽しみに!
そして今年の4月から新生 Ocean Leatherが始まり、色々な方々のお陰で慌ただしい日々を過ごさせていただきました。心より感謝申し上げます。
2025年もOcean Leatherをどうか宜しくお願い致します。
さてさて堅苦しい挨拶はこれぐらいにして・・・
前回のブログでは「フィッシュレザーの製造工程」をお話しさせていただきましたが、今回はフィッシュレザーの製造工程の各工程を深掘りした「脱脂編」の話をさせていただこうかと思います。
目次 脱脂とは 脂が原因で起こる影響について 脱脂で使用する薬品について 脱色について Makuake リアルカラープロジェクト 第1弾 |
脱脂とは
前回も「フィッシュレザーの製造工程」で説明したんですが、もう一度説明しますね。
脱脂とは、皮の脂を除去する工程ですね。
ドラムと言われる機械で1日2回水替えして約1週間~10日程脱脂をします。
何故ここまで時間をかける理由は、次で説明しますね。
脱脂中
脂が原因で起こる影響について
やっぱり1番は「におい」じゃないですかね。魚皮の魚臭さの原因は脂なんです。
「魚臭い」では無く、「脂臭い」が正解なんです。
脂が乗っている魚はもちろん美味しいですが、脂が乗っていればいるほど「魚臭さ」が出てきます。
その他、脂が原因でカビが生えやすくなったり、薬剤の浸透を阻害したり、油ジミと言われるシミができます。
それらを完全に除去するためOcean Leather では1週間以上かけて脂を除去してるんです。
油ジミ例(真ん中の薄茶色部分)
脱脂で使用する薬品について
水・塩(防腐)・界面活性剤(洗剤)・アルカリ剤(脱色剤)などを使用しています。
界面活性剤(洗剤)だけで時間を掛ければ脂を除去することは可能なんですが、ある程度でストップして皮の中から完全に脂が除去できないんですよね。
そこでアルカリ剤を一緒に使用します。アルカリ剤は皮のコラーゲンを膨潤させて不要な成分を除去する効果と共に界面活性剤が脂を引きはがすのを助けてくれます。
牛や馬だと、アルカリ剤として消石灰を使用する事が多いと思いますが、魚ではアルカリ剤として脱色剤を使用します。その理由は、後ほど説明しますね。
後、魚は鱗がありますよね?アルカリ剤によって皮を膨潤させることによって、鱗が取りやすくなります。
それなのでわざわざ手で鱗を取らなくても、ドラムで回している内に取れるんです。
次は、「脱色について」お話しさせていただきます。
左から塩・脱色剤・界面活性剤
脱色について
先程、アルカリ剤として脱色剤を使用すると言いましたが、なぜ脱色するかというとやはり脂を除去する為ですね。
脱色するパターンと脱色しないパターンでテストしてみたんですが、脱色しない方が鞣しが終了すると硬く仕上がりました。
そこで、成分分析したわけではないので確実な情報ではないですが、魚の「色素」にもタンパク質などが含まれていると私達は思ってます。
だから、脱色しないと余分なタンパク質分が残り、薬品の浸透を阻害して硬い仕上がりになったと思います。
その為、Ocean Leatherではアルカリ剤として脱色剤を入れて脱色してるんです。
※環境にやさしい脱色剤を使用しております。詳しい薬品名はまだ企業秘密ということでお願いします。
爬虫類(エキゾチックレザー)も脱色する(半脱色や脱色しない場合もある)ので、魚もそのイメージに近いですかね。
上 脱脂後 下 脱脂前
後、よく質問で「高知県で有名なカツオの皮を革にできないの?」と言われるんですが、革にはできるんですが、写真のように脱脂終了後は真白な皮になるので、カツオの持っている色模様が無くなり、更に鱗模様もないツルツルの魚なんで、「フィッシュレザーの良さが出ないよ」っていつも言ってます・・・
Makuake リアルカラープロジェクト 第1弾
最後にこの場を借りて告知させてください。
先程からフィッシュレザーは脱色するので色模様は無くなるよというお話をしさせていただきました。
そこで、Ocean Leather開発担当がひらめいて、
「綺麗な色模様が無くなるのであれば自分達で再現すればいいじゃないか!」
※第1弾は、鰤のリアルカラーです。
と中々振り切った企画になっております。
その他に色々な思いありますが、興味ある方は下記のURLから詳細をご覧ください。
以上が、脱脂工程を深掘りした「脱脂編」になります。
次回は、「中和(脱灰)編」になります。次回もお楽しみに~
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