top of page

中和(脱灰)編

執筆者の写真: OL工場長OL工場長

新年明けましておめでとうございます。

工場長(自称)の坂本です。


昨年は皆様のお陰で忙しい日々を過ごすことができました。

新年を迎え、新たな気持ちで精進して参ります。

2025年もOcean Leatherをよろしくお願い致します。


私の今年の抱負は「ほどよく頑張る」です。

昨年は、忙しく、時には無理することもあったので、体調を崩すことが多々ありました。

もちろん手を抜くわけではないですが、もっと効率良く自分のペースで上手く仕事を回していこうかと思ってます。


新年1発目のブログは、昨年に引き続きフィッシュレザーの工程を深掘りした内容をお送りします。「脱脂編」の次は、「中和(脱灰)編」です。




中和(脱灰)とは


中和(脱灰)とは、鞣し作業に行く前に皮のPhを調整して、中和(脱灰)の後の鞣し作業を行いやすくする作業ですね。

前回「脱脂編」で話したように脱脂にはアルカリ剤を入れて皮を膨潤させるので、脱脂後は皮の状態がアルカリ性になっているので、皮のPhを中性に戻してやります。


中和作業


なぜ中性にする必要があるの?


それは、次の鞣し作業で使用するタンニン(鞣剤)が関係するんです。

タンニンが皮のタンパク質と結合することによって皮から革へ変化するのですが、タンニンの結合量は、Phによって変化します。


タンニンのPhによる結合量は、酸性 > 中性 < アルカリ性 となり、中性に近づくほど小さくなります。※結合量が大きい=吸着 結合量が小さい=浸透


「タンニンの結合量が大きい方がいいんじゃないのか?」と思う方もいらっしゃると思います。もちろん最終的にはタンニンの結合量が大きい方がいいです。


しかし、そのまま中和(脱灰)せず鞣し作業に入ると皮のPhがアルカリ性なので、皮の表面だけに吸着して皮の中までタンニンが浸透せず、硬い仕上がりの革になります。


その他、タンニンが皮の表面に吸着するとタンニンが邪魔して加脂剤等も中まで入りにくくなるんですね。


だから、中和(脱灰)をして皮を中性の状態にしてから、鞣しの最初はタンニンを皮の中まで浸透させ、Phを酸性に少しずつ近づけながら最後には皮の表面へタンニンを吸着させます。


もちろん、皮の中までタンニンが浸透するとその他の薬品もしっかり浸透します。

※また、鞣しについてはブログで公開するのでその時にもっと詳しく書きますね。


中和(脱灰)で使用する薬品と作業方法について


水・塩・酸(ギ酸・クエン酸)をOcean Leatherでは使用しています。

簡単に説明すると、塩水(中性)の溶液に皮を入れてドラムで回すと、皮の中のアルカリが溶液に溶け出してアルカリ性になるので、酸性のギ酸やクエン酸を入れて中性に戻してを繰り返します。


Ocean Leatherでは、ギ酸やクエン酸を使いますが酸の種類は特に重要では無いですね。

とりあえず、酸性にできればいいという感じですかね・・・

酸の強弱はあるので、目に入ったりとか使用上の危険はありますがね・・・



そんなこんなで、以上が中和(脱灰)工程を深掘りして書かせていただいたんですが、化学が出てきたり難しいけど面白い。それがタンナーの仕事ですね。

少しでも興味を持っていただけたらと思って書いているので、質問等あればいつでもご連絡ください。

釣りフェス2025 in YOKOHAMA



最後になりますが、イベント告知させてください。

1月17日(金)~1月19日(日)に横浜で開催される、釣りフェス2025 in YOKOHAMA に初出展します。展示会場は、パシフィコ横浜になります。

開催まで後1週間で入場する為には、チケットを購入する必要がありまのでお早めにお求め下さい。

フィッシュレザーを見れる少ない機会なので、興味ある方はぜひご来場ください。

その他、詳細は釣りフェスホームページをご確認ください。



次回は、「鞣し編」です。次回もお楽しみ~






Comentarios


bottom of page