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染色・塗装

こんにちは。工場長の坂本です。


最近、「良い革」ってなんだろうと考えることがあって、人それぞれの感覚なので一概に「これ」といった物はないと思ってます。

例えば「物性」、「質感」、「機能性」等、色んな要素があって、何を元に良いと判断するかで変わってきます。

私個人の意見としては、「良い革」は、作り手が面白く良い革ができたと思っても、需要がない場合や少数でも他者が使いたいと思ってくれることがないと「良い革」と思えません。作り手の自己満足の「良い革」を悪いと言ってるわけではないので、悪しからず・・・



それでは、前回のなめし(鞣し)後編に引き続き、今回は「染色・塗装」についてお話しさせていただきます。



染色について


染色とは革の内部から表面まで色を染めていく工程です。

「革」と「染料」をドラムの中に入れて染色を行います。


「染料」には大きく分けて「化学染料」と「天然染料」の2種類があります。

化学染料の主な種類として用途や繊維によって使い分けをしますが、「直接染料」、「反応染料」、「硫化染料」、「バット染料」、「酸性染料」、「含金酸性染料」、「分散染料」、「カチオン染料」に分けられます。

皮革では、「酸性染料」、「含金酸性染料」を使うことが多いと思います。


「天然染料」は、その名の通り自然から採取される染料で「植物染料」、「動物染料」、「鉱物染料」に分けられます。

天然染料の馴染みがあるものと言えば植物染料で「草木染め」、「藍染め」が代表的ですね。


自然由来なので、環境に優しく化学染料にはない独特な風合いが楽しめるのが特徴です。

しかし、染色に時間がかかったり、仕上がりの調整が難しいなどの面もあるので、皮革では

天然染料での染色革は少ないですね。


染色風景

塗装について


塗装とは、染色後の革の表面に「塗料」というものを塗布する仕上げ工程です。

塗料で色付け、ツヤ出し、手触り、強度を与えたりと様々あります。

革の仕上げはこの塗装によって大きく印象が変わり、しっとりとしたマットな質感から光沢のあるグロス仕上げまで、用途やデザインに合わせた表現が可能になります。


塗料には「染料」と「顔料」の2種類があります。

染料と顔料の違いとして「染料」は革の中に浸透して着色します。

「顔料」は革表面に付着して着色します。


染料は革の中に浸透して着色するので鮮やかで透明感があり、革のシボなどの表情をそのまま活かすことができるため、自然な革の風合いが出しやすいです。

顔料は革表面に付着して着色するので均一性があり、色褪せがしにくく、耐久性もあります。

しかし、革表面に着色するので自然な革の風合いが出しにくいです。

どちらが良いとかは無く、どちらも一長一短があるということですね。


塗装風景

フィッシュレザーの仕上げについて


フィッシュレザーでは、基本的に染料と顔料は使用しません。染料は使用することがありますが、顔料は使用しません。

何故かというと、顔料は革の表面に付着して着色すると説明しましたが、そうすると魚の鱗模様が消えてしまうからです。


まず染色工程でフィッシュレザーを染色して、塗装工程で無色の塗料で革をコーティングします。

この「染色工程」では、革の繊維から染料を浸透させて色を入れていきます。魚の種類によって鱗模様が異なるため微妙な違いが出ます。そのため、同じ色の染料を使っても、一枚ごとに少しずつ風合いが変わるのがフィッシュレザーの魅力ですね。


「塗装工程」では、無色の塗料でコーティングを行います。イメージとしては、車のコーティングと一緒ですね。色を付けるためではなく、染色後の革の表面を保護し、美しさを長持ちさせるための工程です。

このコーティングをすることによって、

  • 革の手触りが良くなったり、

  • 耐久性の向上、

  • 汚れが付きにくくなったり、

といったさまざまな効果を付与します。


また、コーティングには艶の調整という役割もあります。ツヤを抑えたマット仕上げにすることで自然な質感を出したり、逆にグロス仕上げで高級感を演出したりと、仕上げ方次第で革の印象が大きく変わります。

フィッシュレザーのように鱗模様が特徴的な革では、このコーティングが繊細な表情を引き立てる仕上げとなり、使い込むほどに味わいが増していきます。



以上が染色・塗装工程のお話になります。

また、次回をお楽しみに!




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