こんにちは!
Ocean Leather で革の開発を行っている高橋大海です。
ありがたいことに、多くの方に弊社製品をご購入いただいたり、展示会に出展したりと、毎日忙しく活動しています。忙しすぎてブログを書く時間を確保するのが難しいです。
でも、毎週末は高知県の東側(室戸岬周辺)まで、しっかり釣りに行っています(笑)。
もっと仕事も頑張ります!!
今日は、日本における魚の皮の歴史についてお話ししたいと思います。
魚の皮の歴史
日本は島国で大型の哺乳類が少ないため、昔から魚は貴重な動物性タンパク源として重宝されてきました。身や皮は全て食べ、骨やウロコ、食べにくい部分は肥料として畑の栄養源となっていました。今も昔も皮は食べられていたのです。

そんな中、日本国内では古くからアイヌ民族が鮭の皮を使い衣服を作っており、現在でも北海道の博物館でその歴史を見ることができます。(『ゴールデンカムイ』という漫画にもこの話が出てくるようです。私はまだ読んでいませんが、近々読んでみたいと思っています。)

北海道を除く日本国内では、唯一利用されていたのがサメやエイの皮です。それらは主に武具類やワサビなどをおろす「すりおろし器」など、一部の日用品に使用されていました。
ちなみに、高級なすりおろし器として販売されている「サメ皮おろし」ですが、実はあれはエイの皮です。昔の日本ではサメとエイを明確に区別せず、総じて「サメ」と呼んでいたため「サメ皮おろし」と名付けられていますが、現代的には「エイ皮おろし」がより正しい名称と言えるでしょう。

魚の皮が注目を浴びたのは、大正時代~昭和初期頃です。このころは日露戦争や第一次世界大戦など、日本が外国との戦争に参加する時代でした。プラスチック製品がほとんどない時代、靴や衣服、戦争用の装備品には革が大量に使用されていました。しかし、土地が少なく、明治時代に入ってようやく牛肉を食べ始めた日本では、十分な量の牛革を確保することが難しく、代替品として魚皮が注目されました。国の政策として魚の皮のなめし技術が研究され、現在でも国会図書館のデータベースには貴重な資料がいくつか残っています。
魚はヒラメ、サケ、サメなど、比較的大きな魚を中心に研究されていたようです。
結果的に、どこまで実用化が進んだかは明確ではありませんが、ヨシキリザメの革の製造方法は大正~昭和、平成、令和に至るまで研究・製造が続いています。

ここからは私個人の推測ですが、魚の皮が普及しなかった理由は、魚の皮の腐りやすさや、安定した供給が難しかったことにあると思います。現在はスーパーで年中ブリやマダイ、サーモン、マグロを見かけますが、それはこの50年ほどの話です。それ以前は養殖技術や冷蔵・冷凍技術、物流が整っていなかったため、大型で一定サイズの魚を安定して集めることは困難でした。また、魚は温度に非常に弱く、温かい環境ではすぐに腐ってしまうため、皮を革に加工するどころか、食べることすら難しかったのです。そのため、昔は皮ごと食べる焼き魚が主流で、皮も含めて食べるのが一般的でした。
余談ですが、Ocean Leather の工場がある高知県では、カツオのたたきが昔から有名です。由来の一説によると、生のカツオが美味しく、多くの人が食べていましたが、鮮度の低下が早いため食中毒が頻発していました。それを見かねた藩主がカツオの生食を禁じ、市民の苦肉の策で皮付きのカツオを表面だけ炙った「カツオのたたき」が生まれたそうです。
話を戻しますと、昭和~ここ10年ほど前まで、日本で商業的に生産されていた魚の皮はヨシキリザメの革のみでした。ヨシキリザメはフカヒレの原料として重宝され、特に宮城県気仙沼で多く漁獲されています。株式会社メルセンさんが製造されていますので、ご興味のある方はご覧ください。
伝統的にはエイの革が製造されていましたが、現在では日本国内にその技術を持つ会社はなく、「失われた技術」となっています。現在国内で流通しているエイ革は、ほとんどが東南アジアからの輸入品です。

そんな失われた技術を現代に蘇らせるべく、日々開発を進めています。フィッシュレザー自体の知名度はまだまだですが、より良い革を目指し、ゆっくりと精進していきます。
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2025年2月1日~2日にインテックス大阪で開催されるフィッシングショーに出展します。フィッシュレザーに実際に触れていただける機会ですので、ご興味のある方はぜひお越しください。「ブログ見たよ」と言っていただければ、製品をプレゼントします!
ただし、フィッシングショーでは展示のみで購入はできません。もし気に入っていただけた場合、同じ日程で大阪梅田で販売イベントも行っていますので、ぜひそちらにお立ち寄りください。↓
とさもんマルシェ
日時:2025年2月1日(土)-2月2日(日)
場所:KITTE大阪
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
🔳この記事を書いた人

名前:高橋大海(たかはしひろみ)
役割:研究・開発/サポート
経歴:関西外国語大学/Merced College (アメリカ)卒業。2021年Ocean Leatherを創業
出身:高知県
趣味:釣り(なんでもやりますが、最近は船釣りやシーバス釣り)
好きな魚:センネンダイ・ハマフエフキ
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