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植物タンニンとは?

  • 執筆者の写真: Boss
    Boss
  • 2025年7月12日
  • 読了時間: 5分

更新日:2025年7月16日

こんにちは!

フィッシュレザーの開発担当 高橋大海です!

今日は革鞣しに使用する植物タンニンについて深堀りしてお話しようかなと。



タンニンとは?

タンニンとは、ポリフェノール化合物の一種で多くの植物の果実や幹、樹皮などに含まれまれ、植物が昆虫や菌類から身を守るための天然の防御物質として知られています。植物の種類や部位などでタンニンの構成要素が異なっており、150種類以上に区分されると言われています。

代表的なタンニンを含んだ植物はミモザ(アカシア)です。ミモザと聞くと黄色い花が思い浮かぶかもしれませんが、花の部分にタンニンはあまり含まれておらず、樹皮に多く含まれています。

ミモザの花
春頃、よく花屋さんなどに並んでいるミモザの花

皮革の製造で使用するミモザは南アフリカなどの人工林で育てられており、その樹皮を煮だして粉にしたものが「ミモザタンニン」になります。

ミモザタンニン
粉末タイプのミモザタンニン

(Ocean Leather工場では粉末を採用していますが、固形や液体、色味が調整されているものなどかなり多くの種類があります。)



鞣し加工で使われるタンニン

単に植物タンニンといっても原料となる植物によって色合い、化学的組成、分子量などが異なっているのでタンナーは革をデザインします。バックであればバックに適した植物タンニンを、靴用、婦人小物用、ベルト用など多岐にわたります。

・ミモザ(アカシア)

バックや革小物、家具用革と何でも使える万能なタンニンで世界で一番使用されている。

主に樹皮から抽出される。

鞣し上がりの色合いは黄色~赤みがかった肌色。少し灰色がかって見える。

・チェストナット(栗)

やや硬めに仕上がりやすいため靴底革や馬具、硬さが要求される場合に使用される。

主に木質部から抽出される。

鞣し上がりの色合いは赤茶~少し黒っぽく、独特の匂いがある。

・ケブラチョ

少しだけ硬めに仕上りやすいため硬さが要求される場合に使用される。

主に木質部から抽出される。

鞣し上がりの色合いが濃い目の赤褐色で革らしいオレンジ調の革になる。よくミモザと混ぜてヌメ革の鞣しに使用される。

・タラ

衣料革やパステルカラーなど薄い色調の革を作るのに使われる。

主に果実部分から抽出される。

淡色でやや白っぽい黄色味がかった肌色に仕上がる。発色が良く、薄いく柔軟な革の製造に向いている。




身近なタンニン

身近で分かりやすい例だと渋柿や紅茶、コーヒーなどがタンニンを含んでおり、それらを口にすると渋みを感じます。タンニンはタンパク質と結合する作用があり、この渋みはタンニンが口内表面のタンパク質と反応しタンパク質を変性させるため感じるものです。また、タンニンは金属とも強く反応する性質があり、反応すると多くのタンニンは黒っぽい色になります。液中でタンニンがタンパク質や金属と混ざると沈殿を引き起こす効果があります。

皮革ではタンニン、木材ではリグニン、食品、医薬、化粧品の分野ではタンニン酸、カテキン、フラボノイド、ポリフェノールと呼称を使い分けていますが、実は化学的には同じです。


先程例に挙げた他にも身近なところでタンニンは存在し活用されています。

・化粧品、健康食品

抗酸化作用によるアンチエイジングや体の調子を整える効果が期待される

・ワイン、ウィスキー、日本酒、ビール

澱(オリ)下げと言われる工程で使われ、味や香りを引き出し、液の透明度を向上させる効果がある

・印刷インク

タンニンと金属の反応を利用したインクなどがある

・ウラン

原子力に使われるウランの精錬にタンニンが利用される

・木材の防腐塗料

タンニンが防虫効果があるため



タンニンの歴史

ここで不思議なのは植物にのみ「タンニン」が含まれているのか?

という事です。人やその他の動物にも含まれていてもおかしくないはずです。

実は植物タンニンは非常に古い時代から存在したと考えられ、およそ4億年以上前のデボン紀(=植物が陸に上がった時代)からすでに、こうした防御化合物が現れはじめていたという説があります。

古代の木々
出典:ねこでもわかる生物学/生物の進化/ 地質時代-陸上植物の繁栄- https://manabu-biology.com/archives/%E5%9C%B0%E8%B3%AA%E6%99%82%E4%BB%A3-%E9%99%B8%E4%B8%8A%E6%A4%8D%E7%89%A9%E3%81%AE%E7%B9%81%E6%A0%84.html

現在地球上を支配しているのは人間?ですが、太古の昔は植物と昆虫が支配しており両者で激しい生存競争が起こっていました。30~40m級の巨大な樹木が陸に生い茂り、トンボは70cm程、ムカデは3m程と昆虫は今より遥かに大きく強い時代です。

そんな中で植物が身に着けたのが昆虫や草食動物にとって渋くて苦いため食べにくく、消化もしづらいタンニンです。先ほどミモザタンニンは樹皮からとった粉末を使用していると言いました。その理由は植物が生存に不可欠な「幹」を守るために「樹皮」にタンニンを多く含んだからです。

確かに、生えてる木にかじりつく生き物や、まだ熟れてない果実などを好んで食べる生物は見たことないです。

生命の進化ってすごいですよね。

ちなみに、科学技術が進んだ現代でも植物タンニンを人工的に作る事は不可能とされています。(化学的に合成された合成タンニンはありますが、名前は似ていても化学的組成は全く異なります。)



植物が生存競争を勝ち抜くために数億年以上前に作った植物タンニンに皮を鞣す効果があると古代の人々が初めて気づき、それを何世代にも渡って知識と技術を積み上げ繋いできた結果、現代の技術があると。僕は初めてこれを知った時はすごく感動しました。人間は昔の人々に、地球に行かされている事を感じながら今日も鞣し加工をしています。


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